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●枕

首の動脈に深刻なダメージ「殿様枕症候群」  

ダンディズム 2024.9.02

高くて硬い枕を使用している人ほど脳卒中の要因になる「特発性椎骨動脈解離」を発症しやすい、そんな研究結果を国立循環器病研究センターの研究チームが発表した。心血管の危険因子がない若年でも発症することから同センターは警鐘を鳴らしている。

首の後ろの椎骨動脈が裂けてしまう特発性椎骨動脈解離を引き起こすと、できた血栓が脳の血管に詰まり脳梗塞を発症することがある。 一般的に脳卒中は高齢者に多く発症するが、若年から中年層の8~10%は特発性椎骨動脈解離が原因だ。この世代の多くは心血管の危険因子を持たないため、交通事故、ゴルフのスイング、カイロプラクティックといった首への衝撃によって発症するケース以外は原因不明とされていた。
 そこで同研究チームが着目したのがこの病気を発症した人が普段から使っていた枕の高さ。2018年~2023年にこの病気で入院した人と、この病気以外の病気で入院した人(同じ年齢層と同じ性別比)の枕を調べると、頭を載せない状態で12cm以上の厚みがある枕の使用率はこの病気の人たちでは34%だったのに対し、その他の病気の人では15%以下。しかもより高い15cm以上の枕では17%対2%と明確な違いがあったのだ。
 さらに高くても柔らかい枕を使っていれば発症率は下がる傾向にあることから、首の屈曲とこの病気の関連がわかったという。
 またあおむけ寝で首が曲がることによる発症率は3割程で、実際は寝返りなどで首をねじることが発症の要因になることが多い。
 最近は高い枕で寝たままスマートホンを見続ける人も多いが、こうした習慣は若年層であっても病気のリスクを高めることになる。
 かつて日本では殿様枕と呼ばれる高くて硬い枕が広く使われていたため、同研究センターはこの病気を「殿様枕症候群」と命名した。
実際殿様枕が一般的だった1800年代には「寿命三寸楽四寸」と流布されていたのだが、これは「12cm程度の高い枕は髪型が崩れず楽だが9cm程度が早死にしない」という意味。つまり当時の人々は高い枕と脳卒中との関係をなんとなく理解していたのかもしれない。
あおむけで眠る場合、背中と首のS字カーブを自然にサポートしてくれるのが正しい枕の基準。快適な睡眠だけでなく深刻な病を誘発しないためにも、枕選びは慎重に行いたい。ひとたび脳卒中を引き起こすと、若年層でも重い後遺症を引き起こすことがあるのでたかが枕と甘く見てはいけない。    

 

 

 

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