Feature 特集
森がエネルギー源になる!木質バイオマスは次世代エネルギーの有望株だ。
2019.03.04
地球温暖化がより深刻になり、化石燃料に頼らない再生可能エネルギーのニーズが高まっている。そんななか国土のおよそ3分の2が森で覆われている日本にとって可能性の高いエネルギー源「木質バイオマス」が注目されている。
そもそも「バイオマス」とは「再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)」のことで、木材からなるものを「木質バイオマス」と呼ぶ。
木質バイオマスには森林整備のために行われた間伐や主伐で伐採された木材のうち、利用されずに林地に放置された「未利用間伐材」、製材工場等から発生する樹皮や背板、のこ屑などの「製材工場等残材」、さらに木造建築物の解体等に発生する「建設発生木材」などがある。しかし「製材工場等残材」や「建設発生木材」はそのほとんどがすでに有効利用されているので今後は「未利用間伐材」の活用が課題となる。
「未利用間伐材」は森林整備などで年間約2,000万m3(推計値)も生まれているので、これがエネルギー源となれば日本の自然エネルギーの選択肢が増えるだけでなく、林業経営や山村地域の活性化、森林整備の推進にも繋がっていく。
すでに各地の木材産業では約400の工場で木くずを焚くボイラーを設置。工場で発生した端材や樹皮などの残材を燃やして木材の乾燥や工場内の暖房に利用している。
昔からある薪も今では完全燃焼する二次燃焼室を持った薪ボイラーの登場で最大限の熱効率を発揮し、温泉地や浴場での給湯や追い焚き、ビニールハウスの暖房、床暖房などにも活用されている。もちろん薪ストーブも広がりを見せている。
さらに最近ニーズが高まっているのが「未利用間伐材」を加工した木質燃料の「木質チップ」や「木質ペレット」。木質ペレットはチップを細粉して圧縮成型したもので、木材産業や公共施設、発電所、温泉、温水プール、役場庁舎、社会福祉施設などの公共施設や農園芸ハウスなどのエネルギー源として利用が拡大している。
家庭レベルで普及が進んでいるのが寒冷地で、ペレットの生産量が多い岩手県や原油価格高騰のあおりを受ける北海道などではペレットストーブ人気が急騰中だ。
木質チップやペレットを燃やせば二酸化炭素が増えるように思えるが、森の樹木はそもそも二酸化炭素を吸収して成長するもの(カーボンニュートラル)。燃やして二酸化炭素を発生させても樹木の伐採後に新しい樹木を植えればサステイナブル(循環可能な)が実現できる。木質バイオマスは日本のエネルギーの需要をすべて補えるわけではないが、日本のあらたなエネルギー源として期待されている。
<参考資料>
●一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会 https://www.jwba.or.jp/
●林野庁 木質バイオマスの利用推進について http://www.rinya.maff.go.jp/