Self-improvement 自分磨き

水を使わないバイオトイレ
排泄物の分解を促すのは木質材の「おがくず」!

ダンディズム 2019.12.02

バイオトイレは「コンポストトイレ」「コンポスティングトイレ」とも呼ばれるトイレの方式。便槽内で排泄物とおがくずとかくはんし、好気性微生物(酸素を必要とするバクテリアや微生物)を活発化させることで排泄物を分解する。
日本では南極昭和基地に設置されたことでも知られ、最近では家畜用に巨大な設備も開発されている。下水道設備が不要で欧米諸国では道路沿いの施設や国定公園などにも設置されている。

バイオトイレは日本でも生産され、別名「おがくずトイレ」と呼ばれている。日本のバイオトイレでは保水したおがくずに熱を加え、スクリューでかくはんすることで水分を蒸発させ、残った固形物を好気性微生物に分解させる。完全に分解された排泄物は臭いも全くなく、農業や園芸で重宝される高品質な有機肥料へと生まれ変わる。

排泄物を分解するのは、もともと含まれている腸内細菌と自然界に生息している微生物で特別な菌は不要。おがくずの交換も使用人数によるが年に2~3回が目安という。

また、水を使わない、土壌や水を汚染しない、生ゴミの処理も可能、災害に強い、比較的安価などのメリットがあるが、最も画期的なのは下水道施設や汲み取り作業が不要なこと。バキュームカーの立ち入れない山小屋でも設置は比較的容易で、登山愛好家の増加とともに増える排泄物の処理や災害時の仮設トイレなどにも期待されている。

阪急阪神ホールディングスでは環境保全型トイレとして「おがくずトイレ」を、屋久島、熊野古道、知床半島、礼文島、小笠原諸島といった世界自然遺産・文化遺産へ共同設置も含め5ケ所へ寄贈設置。設置したトイレにはログハウスタイプのものもあり、環境だけでなくまわりの景観ともなじむよう配慮されている。
https://www.hankyu-hanshin.co.jp/csr/news/detail.php?cid=338

バイオトイレは水道料金や汲み取りの費用が不要になる反面、保温やかくはんに電気代が発生する。料金は使用頻度や設置場所、機種によって異なるが、場合によっては高額になることもあるのでそこが今後の課題と言えそうだ。

バイオトイレはインフラの整備が遅れ下水道設備がない発展途上国へと日本を含む先進国から輸出・提供されているが、今後人口爆発によって水の貴重性がさらに高まれば、第三のトイレとしてより広いエリアで必要とされる可能性もある。

そして、排泄物を高品質の有機肥料に生まれ変わらせる新しい循環が、将来我々に豊かな実りをもたらすことにも期待したい。

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